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ワインの格付けとワイン法:ワインの個性を守る仕組みを徹底解説

ワインは、ブドウ品種、土壌、栽培法、気候、収穫時期、製造法、貯蔵法など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれる個性的な飲み物です。その個性を明確にし、品質を保つために、生産地域を限定し、規制を設ける「ワイン法」と、品質基準となる「格付け」が存在します。この記事では、ワインの格付けとワイン法について深く掘り下げ、その歴史や仕組み、そしてスパークリングワインと酒精強化ワインの特徴についても解説します。

ワイン法の誕生:偽物ワインとの闘い 

ワイン法は、1930年代中頃にヨーロッパで誕生しました。悪天候と経済不況が続き、フランスのワイン産業も打撃を受け、有名産地の名前を騙る偽物ワインが大量に出回ったことがきっかけでした。ボルドー、ブルゴーニュ、シャトーヌフ・デュ・パプなど、すでに人気産地であった地域は、対抗手段として法律制定へと動き始めました。これが「ワイン法=原産地統制名称(A.O.C.)」の始まりです。

ワイン法は、外部に対しては有名産地を騙った偽物の製造を防ぎ、産地内部ではそれぞれの伝統を守り、個性や品質を守る効果があります。2009年8月には、EU加盟のワイン生産国において新たなワイン法が発令され、ラベルの記載などの改訂が行われました。

EUにおけるワインの格付け:品質を守る3つのカテゴリー

EUでは、ワインは以下のように格付けされています。

  • 原産地呼称保護ワイン (PDO):特定の地域で、特定のブドウ品種、栽培方法、醸造方法で造られた高品質ワイン。旧A.O.C.ワインに相当。
  • 地理的表示保護ワイン (PGI):特定の地域で、少なくとも85%以上のブドウがその地域で収穫されたワイン。旧ヴァン・ド・ペイに相当。
  • テーブルワイン:EU内で生産されたワイン。品種や産地を表示できない。

この格付けにより、消費者はワインの品質や産地に関する情報を得ることができ、生産者は自らのワインの価値を高めることができます。

スパークリングワイン:華やかな泡の世界 

スパークリングワインは、炭酸ガスを瓶の中に封じ込めた発泡性ワインの総称です。フランスのシャンパン、イタリアのスプマンテ、スペインのカヴァも、すべてスパークリングワインの一種です。

 

 

シャンパンは、フランスのシャンパーニュ地方で造られるA.O.C.ワイン固有の名称で、特定地域の特定のブドウ品種を用い、A.O.C.法により厳しく規定された生産条件を満たしたものだけが名乗ることができます。

スパークリングワインの製造法:3つの主要な方法 

スパークリングワインの主な製造法は3種類あります。

  • トラディショナル方式:瓶内で二次発酵を起こさせる方式。手間とコストがかかるが、最高級スパークリングワインの製造に用いられる。シャンパンはこの方式で製造される。
  • シャルマ方式:大きなタンク内で二次発酵を起こさせる方式。短期間で製品化が可能で、コストを抑えられる。
  • トランスファー方式:瓶内二次発酵をさせたワインをタンクに移し、新たに瓶詰めする方式。トラディショナル方式を簡略化したもの。

[Image illustrating the three main methods of sparkling wine production: Traditional, Charmat, and Transfer]

これらの製造法によって、スパークリングワインの風味や価格帯は大きく異なります。

世界のスパークリングワイン:多様な個性を楽しむ 

世界には、様々なスパークリングワインが存在します。

    • シャンパン (フランス):シャンパーニュ地方で生産され、A.O.C.法の厳しい規定を満たしたものだけが名乗れる。トラディショナル方式で製造され、7段階の甘辛度がある。
    • スプマンテ (イタリア):イタリア全土で製造され、ガス圧は20℃で3気圧以上。トラディショナル方式で製造されたものを「スプマンテ・クラッシコ」と呼ぶ。
    • カヴァ (スペイン):スペインのスパークリングワインの中で特に有名。トラディショナル方式で造られ、二次発酵から口抜きまで最低9カ月の熟成が義務づけられている。
 

これらのスパークリングワインは、それぞれ異なる個性を持っており、様々なシーンで楽しまれています。

フォーティファイドワイン:奥深い味わいの世界 

フォーティファイドワインは、ワインの醸造工程中にブランデーやアルコールを添加し、アルコール度数を高めてコクや保存性を高めた酒精強化ワインです。甘口と辛口があり、一般的に甘口はデザート用、辛口はアペリティフ用として飲まれます。

[Image showcasing different types of fortified wines, including Sherry, Port, and Madeira]

世界三大フォーティファイドワイン:歴史と伝統が育む味わい 

世界三大フォーティファイドワインとして、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、マデイラがあります。

  • シェリー:スペイン・ヘレス地方で造られ、アルコール度数や醸造方法などにより様々な種類に分けられる。ソレラシステムという独特の熟成方法で造られる。
  • ポート:ポルトガル・ドウロ川上流で造られ、発酵途中にブランデーを加える製法で、独特の甘みとコクを生む。ルビー・ポート、トゥニー・ポート、ホワイト・ポートなどに分類される。
  • マデイラ:ポルトガル・マデイラ島で造られ、「酸化」が独特の風味をもたらす。酒精強化はマデイラワインに欠かせない手法となっている。

これらのフォーティファイドワインは、長い歴史と伝統の中で育まれた奥深い味わいを持っています。

まとめ:ワインの多様性を支える格付けとワイン法 

ワインの格付けとワイン法は、ワインの個性を守り、品質を保つための重要な仕組みです。これらの知識を深めることで、ワイン選びがより楽しく、豊かなものになるでしょう。

この記事では、ワインの格付けとワイン法の基本的な知識に加え、スパークリングワインと酒精強化ワインについても解説しました。ワインの世界は奥深く、まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。ぜひ、この記事をきっかけに、ワインへの理解を深め、様々なワインを楽しんでみてください。